歯周病は近年、さまざまな全身疾患の原因となることがわかってきました。最近有名なものとしては心臓病がありますが、他にも脳卒中や、肺炎糖尿病などの原因であるとされています。

 歯周病と心臓病(心血管系疾患)との関係は、よく知られています。とくに歯周病原菌が心臓弁への感染源となり、細菌性心内膜炎の原因となっている点がそうです。
 この感染性心内膜炎にならないためには、歯周病の治療および予防が必要です。アメリカでは
「フロス オア ダイ(フロッシングか死か)」と言われはじめて久しくなります。フロッシングとは、通常の歯ブラシだけでなく、デンタルフロスという糸を使って歯と歯の間を清掃することです。つまり、面倒くさがって歯の清掃を怠ると心臓病で死んでしまいますが、それでも良いですか?ということです。
 かなり極端な表現で鵜呑みにする必要はないですが、要は
歯の清掃を怠って歯周病を重症化させ、歯周病にかかっている期間が長引くほど、心臓病になる危険性(リスク)が高まるということです。
 歯周病と動脈硬化症との関連性についても多くの報告がなされています。これは当然、歯周病が心筋梗塞のリスクファクターとなることを示しています。しかし、歯周病と口腔衛生の不良状態が、狭心症や心筋梗塞などの冠状動脈疾患に対する原因となることを、知っている日本人がどれほどいるでしょう?

 歯周病と脳卒中との関係については、非常に興味深い報告がなされています。アメリカで18年間に渡る1万人規模の調査では、出血性脳卒中(いわゆる脳出血)と歯周病との関連は認められなかったのに対して、虚血性脳卒中では動脈硬化を伴うことからも、歯周病と密接な関連が認められました。このことは、間接的ではありますが、歯周病が動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞の誘い水となることを、図らずも証明したこととなったのです。

 糖尿病の患者さんは日本では600万人に達するといわれ、今後ますます増加するであろうことが予測されています。しかも、自分が糖尿病であることを自覚していない人が多く、潜在的な患者数は、さらに増えるであろうといわれています。
 糖尿病は網膜症により失明したり、他には神経障害や糖尿病性腎症など、合併症を引き起こすことで有名です。以前から、
歯周病は糖尿病の合併症の一つであるといわれてきました。糖尿病の人とそうでない人をくらべた場合、歯周病の人の数は糖尿病の人達に多く、さらに歯周病の重症度も糖尿病の人達が高かったのです。そして、歯周病は糖尿病を悪化させる原因でもあります。歯周病の治療をして歯周病が改善すると、血糖値が低くなるなど、糖尿病の状態も改善することが判っています。さらに、糖尿病の進行度が同程度の人達を調べた時、軽度の歯周病の人達にくらべて、重度の歯周病の人達は、2年後に糖尿病が悪化している確率が6倍も高かったのです。



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