「最近歯並びが悪くなっていませんか?」


皆さんは歯周病で歯が移動するということを御存じですか?
読者の方からこんなメールをいただきました。

はじめましてこんにちは。
27歳専業主婦でYと申します。
最近下前歯付近の歯茎のはれと、下前歯の移動が気になり
かかりつけの歯科に行きました。
診断の結果、歯茎が不健康であると言われました。
そして動いた歯は元に戻らないと言われました。
とにかく、1ヶ月間糸ブラシも毎食後行い、
再度検診するよう言われました。
しかし、日に日に歯の移動を感じます。
この糸ブラシだけでよいのか、ひじょうに不安です。
何か気をつける点などあれば教えていただきたいです。
よろしくお願いします。

Yさん、こんにちは。
歯周病によって歯が移動することは珍しいことではありません。そして歯周病で歯が動いたのであれば、多くの場合、放っておいても元には戻りません。かえって移動が増加することが多いです。治療法としては、患者さん個人により、また歯周病の進行具合によって異なります。つまり、歯茎がちょっとだけ不健康なのと、中くらい不健康なのと、非常に不健康なのでは、対応が大きく異なってくるのです。また、個々の歯1本づづによっても進行度合いは差があるのが普通で、それによっても治療方法が変化します。まずは現在の歯周病の状態を詳しく検査することが必要です(もう検査しているのかもしれませんが)。そしてその検査結果を患者さん御本人が説明を受けていただき、御自身の歯周組織(歯茎)の状態を把握していただくことが大切になります。その上で、個々に最適な治療計画が立案され、その説明が行われます。歯が動いた状態でも、これ以上動かなければ良いのか、治療により元に戻したいのかなど、患者さんの意向も重要な要素です。もちろん、患者さんはこのままで良くても、戻さないと症状が悪化してゆくということもあるでしょう。そういうことに関しても、充分な説明は必要だと思われます。

糸ブラシを毎日行うこと自体は、歯周病の進行度合いにかかわらず良いことだと思います。しかし、日に日に動いているような感じで不安なのであれば、1か月経つ前でもその旨を主治医に告げて、口腔内の現状と今後の治療方針を説明してもらった方が良いでしょう。

実際にお口の中を拝見していないので、具体的なコメントは出来ませんが御自身のお口の中の状態を把握しておくことは大切なことだと思います。

茂木信道


歯周病が原因で歯が移動するということは、日常の臨床で非常に多く見受けられます。元々悪かった歯並びが歯周病の進行とともにさらに悪化するということは、決して珍しいことではありません。昔は綺麗な歯並びだと思っていたのに、ある時に気付いたら前歯が開いてきており、最近さらに開いてしまって気になるようになった、、、、このような例は相当にポピュラーで、多くの方に見受けられます。これは、歯周病によって歯を支える骨(歯槽骨)が吸収して少なくなり、奥歯が普段の咬み合わせる力を受け止めきれなくなって移動してしまい、結果的に前歯にも異常な力が加わり開いてきてしまった結果なのです。このような状態は、放置していても悪化こそすれ改善はしません。早めに歯科医院を受診し、適切な検査をうけ、歯が動いてしまった原因を特定することが大切です。原因を除去することによって初めてこれ以上の歯並びの悪化を食い止めることができるのです。原因の除去をせずに前歯の見た目だけを直しても、数年後には元通りに戻ってしまったり、さらなる悪化を招いて取り返しのつかない状態にもなる恐れがあります。どうしても前歯に目が行きがちですが、奥歯も見てみてください。広い視野が大切なのです。



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