「妊娠中の麻酔」

安定期中は通常の量の歯科麻酔であれば、特に問題はありません。
歯科で一般的に使用されているリドカインという麻酔薬の使用量は、産婦人科で使用される(無痛分娩時など)量と比較すると非常に少ないものです。

歯科麻酔薬の多くには、麻酔の効果を持続させる等の目的からエピネフリンという血管収縮薬が含まれています。
このエピネフリン含有の麻酔薬を一度に多量に使用すると、胎児への血行が阻害される可能性もあります。しかし、通常の歯科治療で使用する量では問題になりません。
それよりも麻酔をしないで治療を強行すれば、治療の痛みに耐え続けることとなり、その方が母体にストレスがかかります。結果的に胎児には悪影響があると言えます。

麻酔を必要とする歯科治療の多くは、基本的には妊娠中でも問題となることはありません。
それよりも歯科治療に対する恐怖心など、心理的な影響の方が大きいでしょう。
精神的に不安定な方や出産直前の時期(子宮筋が分娩準備状態に入り、ちょっとした刺激で収縮を起こしやすい時期であるためです)は、緊急の場合を除いて必要最低限の治療にとどめておいた方が良いでしょう。


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