「めじろ」


一見、とても美味しいラーメンが出てくるとは思えない店構えが特徴のこのラーメン屋、僕が納得のゆくラーメンを探して、最初に辿り着いた店である。
ここのラーメンに出会った時の衝撃は今でも忘れることができない。今まで食べたどこのラーメンも、ここのラーメンの前では見事に霞んでしまった。スープを一口啜った時のあの衝撃、もう何年前のことだろうか。いまだに忘れることができない。「これがラーメンなんだ」と当時は思ったものだった。魚の出汁が効いている醤油味のスープは決して魚臭くはなく、まさに絶妙。いくら飲んでも飽きることはない。
麺も絶妙にスープにマッチしている。トータルバランスとは何かをこのラーメンは見事に教えてくれるのだ。そしてこの店の看板メニュー、「油葱ラーメン」である。このラーメンはスープと油が見事に麺に絡みつき、まさに麺がイキイキとするのである。
ところでこの「油葱ラーメン」はもちろん、普通のラーメンでさえ、見た目よりもはるかに油の量が多い。しかし、この油自体が美味であり、油っこさがしつこさに直結することはない。油を味わうことができる稀有なラーメンなのである。
このお店の面白いところは、常に進化を求めて試行錯誤を繰り返すところである。ややもすると、味が一定しないという評価にもつながりがちではある。しかし、それを差し引いても十分に試す価値のあるラーメンを提供してくれる。良い意味で「変な店」なのである。
個人的には、この店の店主である大西氏の息子、祐貴氏の創るラーメンが、大好きであった。湯切り名人とも囁かれた彼のラーメンの味は、それはもう絶品で、その鮮烈な味は今でも脳裏に焼き付いている。一時期は週に一度のペースで足げく通ったものだった。
その後、普通のラーメンは「点」に、油葱ラーメンは「雅」に改称された。そして大西父子が店にあまり出なくなり、代わり?の若い男性がラーメンを作るようになった。
そうしているうちに味が変質してゆき、もちろん不味くはなっていないものの、以前のような輝きを放つことは無くなっていった。
暫く(1年余)の間、足が遠のいていたが、2002年7月から毎週火曜日に限り大西氏が店名も「24(にじゅうよん)」として再登場。実は最近、他の曜日には行っていないので他の曜日のことは良く解らない。だが少なくとも火曜日に関しては、葱の魔術師:大西氏の絶品ラーメンを食すことが可能である。

「めじろ」

住所:藤沢市本町2-3-12
電話 : 0466-24-4244
営業時間 : 11:30 〜 15:00 / 17:30 〜 22:00
定休日 : 火曜日(18:00〜24:00は24として営業)

2004年9月をもって「めじろ」閉店しました。


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