「薬を飲むだけでは歯周病は治らないのですか?」という質問をよく受けます。
以前であれば「治りません」と断言しておりましたが、現在は違います。


現在のところ、さすがに「歯周病は内服薬だけで治る」とまでは言えないのですが、21世紀になってから「歯周病原因菌に抗菌薬(抗生物質)の内服が有効である」ことがわかってきました。

2004年頃から有効性の報告がなされるようになり、2008年には正規の学会でも有効性を示す講演が行われるまでになりました。

内服薬による治療は、従来までの歯周病治療と併用して行います。
歯周病細菌に有効で組織移行性の高い抗生物質を服用することによって、消化管から吸収された抗生物質が血流に乗って歯周組織へ運ばれ、軟組織(歯肉)の内部から歯周病菌を攻撃します。
さらに、歯周ポケット内にも抗生物質が浸出します。
この抗生物質はバイオフィルムに浸透し破壊する能力が比較的高いので、バイオフィルム内の歯周病菌も攻撃します。
それに加えて、スケーリングやルートプレーニグ 、PMTCを行うことにより、歯周ポケット内の歯石やバイオフィルムを機械的に破壊します。



当医院においても、内服薬による歯周病治療を導入しています。
しかし、全ての歯周病の患者さんに対して一律に「なんでもかんでも抗生物質を飲んでいただけば良い」というわけではありません。

では、どのような場合に通常の歯周治療に内服薬を併用することが効果的なのでしょうか。
現在のところ、以下のようなケースで有効であると考えられています。

1)重度の慢性歯周炎に対して
2)侵襲性歯周炎(急速に進行する歯周炎)に対して
3)難治性の歯周炎に対して
4)糖尿病などの全身疾患をもつ患者さんの歯周治療に対して
5)インプラント手術や外科的再生療法への併用薬として
6)メインテナンス(SPT)を定期的に行っているにもかかわらず、しばしば再発するケースに対して





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