患者さんの望む歯科治療とはどんな治療でしょうか? 
現時点では
「痛くない治療」「高くない治療」「早く終わる治療」などが上位を占める代表的な例で、まだまだ予防や再発防止を上位にあげる患者さんは少ないのが現実です。
 けれども
歯科疾患は自然に治る病気ではありません。現在治療が必要な人は仕方ないとしても、今後はメインテナンスを充実させ、くり返し治療を受けることのない方向を目指したいものです。

 頭の中では大切だと解っていても、今までの歯科治療はメインテナンスということに無頓着でした。歯科医院がメインテナンスを行わなかったのはなぜ?
 それには次のような理由があります。
(1)患者さんが特に望まない。
(2)医院にとって経済的な見返りが少ない。
(3)スタッフが少ない。
(4)現状に一応の満足をしている。
(5)具体的に何をすればよいか解らない。

 その結果として、患者さんには次のようなデメリットが生じていたのです。
(1)痛い時だけ行くので、説明を聞く余裕がない。
(2)歯科治療は歯科医師任せである。
(3)歯を磨いているつもりでも、肝心なところは磨けていない。
(4)再発をくり返す。
(5)受信時には疾患がかなり進行してしまっているので、複雑な治療が必要になり、結局は時間的、経済的にも負担が大きくなる。

 それに対して、メインテナンスを行うことにより、歯科医院にも次のようなメリットが考えられます。
(1)患者さんと良い信頼関係が維持できる。
(2)急患が減り、安定した予約診療を維持できる。
(3)スタッフが責任を実感できる。
(4)歯科医院の前向きな姿勢が打ち出せる。



 もちろん歯科医院のみならず患者さんにも次のようなメリットがあります。
(1)歯科治療に対する理解度が深まり、歯科医師やスタッフに対しても希望を的確に伝えることができる。
(2)自分の健康に対する積極的な姿勢がうまれ、自身の健康状態を的確に把握できるようになる。
(3)プラークコントロールの確実性、安定性が高くなる。
(4)再発しても早期治療により負担が少ない。
(5)予防効果が確実である。
(6)食事が美味しくとれるようになったり、口臭に対する疑心暗鬼もなくなり、ク
オリティーオブライフが充実する。

 歯科の2大疾患であるムシ歯歯周病は、プラークの存在なくしては起りません。
口腔内には常に細菌が存在することから、どんな精巧な治療を行っても治療効果を持続することは困難です。また、治療後の長短に関わらず、再発や新たな疾患の発現を見ることも少なくありません。特に、メインテナンスを行わない場合には、良好な経過を示す治療期間は患者さんの生涯の中でほんのわずかです。
さらに治療後に再発したり、新たな部位でトラブルが生じた場合には、患者さんは
「治したはずなのに」とか「治療は終わりといわれたのに」という思いから、歯科医療に不信感を持ったり、転院をくり返したり、歯科治療に消極的になったりという経過をたどります。
 一方、メインテナンスを行った場合には、長期間に渡って良好な経過を維持できることが多くの研究で明らかになっています。通常、メインテナンスと呼ばれる治療後の通院は、症状が改善されていることや積極的な治療(手術や切削など)でないことから、患者さんも歯科医師もそれを軽視しがちです。しかし、
近代歯周病学でメインテナンスは「歯周サポート治療(SPT)」として位置付けられ、原因除去治療、また、外科処置や補綴処置などの修正治療後に続けて行うべき重要な治療期間であるとされています。特に、歯周治療後には唯一、治療効果の維持や疾患の再発および発現を予防する治療といえます。
 疾患の進行がそれぞれ異なるように、メインテナンスも個人、また時期によっても異なります。
個人別に適切なメインテナンスケアを行うことは、歯科医師と患者さんの信頼関係を築き、患者さんが望む「かかりつけの歯科医院」として、さらに歯科医療と二次予防の適切な成果を得るためにも大きな効果をもたらします。

「PMTCを中心に据えたメインテナンスケアをぜひ」

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