間違いだらけの歯科医院えらび:その2(はやく終わる歯医者編)


「あそこの歯医者上手だよ、はやく終わるし」
僕も子供の頃、そう思っていました。子供の頃というよりも、自分が歯医者になるまでは、、、です。

結論:はやく終れば上手とは限りません。

「はやい」には「1回の治療時間が短い」のと「全体としての治療期間が短い」の2つがあります。

まず前者から、、、。

たしかに、全く同じ内容(難易度)の治療をしたのならば、上手なドクターの方が早く終わります。実際に1年目の新人ドクターと10年目のドクターならば、スピードに歴然とした差があることは事実です。

しかしながら実際は「早けりゃ上手い」などという簡単な問題ではありません。クローン人間を2体並べてヨーイドンで治療をするなら別ですが。ちなみに下手な歯医者が上手な歯医者にスピードで勝てる方法がひとつあります。簡単です。手を抜けばよいのです、、、。

料理屋さんならば「早くて旨い」「早いがそこそこ」「遅いが旨い」「遅くて不味い」など判りやすいですが、歯科治療は本当に判りにくいです。特に一般の患者さんにとっては、治療中や治療直後に自分の担当医が上手なのか下手なのかというのは殆どわからないというのが現実です。(初心者のドクター等、おどおどしている雰囲気が患者さんに伝わる、、、ということはありますが。)裏を返すと、本当に上手なのかどうかが分らないからこそ、「はやいかおそいか」という一見非常に分かりやすそうな「ものさし」で評価することになってしまうのでしょう。口コミの情報の場合などは特にそれが顕著です。

治療のスピードだけで上手いか下手かを判断するのが危険であるならば、何を基準に判断すれば良いのでしょう。結局のところ、患者さんは長い期間が経過した時に色々と問題が出てくるか出てこないか、、、長期的な予後とアフターケア等によってしか判断できないわけですね。ということは下手だと気付いた時には、時すでに遅し、、、ということもあり得るわけです。
それに、どんなに上手なドクターがいくら時間をかけても完璧には治せないほど悪くなってしまっている、、、というケースというものも確実に存在するわけです。結局のところは治療をするにあたっての適切な説明、、、治療前、治療中、治療後にわたる患者さんと医師とのコミュニケーションが必要不可欠なわけです。しかしこれがなかなか難しく、直接的には金銭的利益にならないということもあって、歯医者側が忙しかったりすると、ついつい怠ってしまっていた、、、という現実が現在までの歯科治療には多かったのです。

次に期間についての問題です。

患者さんが困っていると訴えているところだけを治療すれば良いのなら、それはそれは早く終了します。
しかし今困っているところの治療だけではなく、困っていると感じているところ以外にも手をつけなければ、本当の問題解決にはならない、、、というようなことは実際に多くの症例で認められるのです。患者さんの年齢が高くなればなるほど、そのような傾向は強くなってゆきます。他に問題があるにも関わらず、その問題には目をつぶって、患者さんには一見わかりやすい治療だけをして終了していれば、「あの歯医者は早くて上手い」と評判になることが多く、ムズカシイところです。他に問題があったとしても、その問題が患者さんにとってわかりにくいものである時は、説明するのも面倒臭かったりするものです。ましてやその問題を治療することが儲けにならなかったら、、、。

その問題というのは歯周病であることが多いです。
歯周病はかなりの重症にならない限り、患者さんの日常生活の障害となることはありませんから、問題の重大さの割に患者さんにわかりづらく、患者さん自身の認識や危機感も低い傾向にあるのです。そして治療期間が長くかかり、あと何回通えば終了ということも言えないし、医院にとっては儲けにもならない、、、。
これではマジメに治療するほど儲からないし、患者さんからは下手だと思われかねない、ということになってしまいます。患者さんにわかりにくいことを逆手にとって、大して治療していなくてもシッカリ治療したことにして料金を請求すれば、それは確かに儲かるのですが、、、。


歯科治療は、ある意味で建築と良く似ています。

素人の我々にとって、その建築物件が粗悪か優良かというのは、工事中や工事直後では判断が難しいものがあります。実際のところはある程度の年月をその家で暮らしてみないとわかりません。
あなたは一世一代のマイホームをたてる時、「工期が短い=良い建築業者」という基準で選びますか。意味もなく工期が長いのは困りますが、素人の我々にも分かりやすく説明してくれたうえで、必要な工事には手抜きをせずに相応に時間をかけてくれる業者の方を選びたいと思うのではないでしょうか。

歯周病の治療はいわば基礎工事です。そして詰め物、被せ物、さし歯など、目につく治療は内外装のリフォームのようなものです。基礎の部分がシロアリにやられていても、相当にズタズタになるまで私達は気付きません。基礎の部分に目をつぶれば短期間で工事は終了するでしょうし、基礎から手を入れればそれなりの工期が必要でしょう。目につかないからといって、基礎の部分も修繕したことにして料金だけはしっかり請求する、、、もっともこれをやると悪徳業者ということになってしまいますけど。


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