『破折に注意』
歯科医師になって30年以上経ちますと、気候の変化とお口の中のトラブルは関連性があることに嫌でも気づきます。
季節の変わり目、特に急に寒くなったりすると急患が増えます。
寒くなると痛い・腫れたの急患だけでなく、取れた・かけたの急患も増えるんです、、、不思議ですよね。確たる科学的裏付けはありませんが、おそらく無意識に食いしばるのでしょう。
取れた・かけただけなら修復可能なんですけど、歯の根っこまで割れた場合は、ほぼほぼ抜くしかありません。その場はなんとか抜かずに済んだとしても、長期的に見ると良くない経過を辿る、、、要するに長持ちしないことが殆どです。
無意識に食いしばったり歯軋りをして割れてしまった場合や、アクシデンタリーにバキっと逝ってしまった場合は、もう本当に残念ですけど仕方ないところもあるのですが、本当に本当に勿体ないのは、人為的に割ってしまったケースです。
昔と違って今は殆ど見かけませんが、歯を使って瓶の栓を抜くとか、食物以外のものを歯で引きちぎるとか、、、とにかく歯を使って力仕事をしないでほしいです。
その場は大丈夫なように感じても、微小クラックっていうんですかね、歯に過度な力を何度も加えることによって微細な破壊が蓄積して、いつか破折の時が訪れますから。
そんなわけで、日常の食べ物にも気をつけてほしいです。
例えば、鶏の軟骨を食べる感覚で、豚や牛の軟骨を食べないでほしいです。
鳥の骨って空を飛ぶために軽くできているんですよ。元から骨密度が低い、要するに骨粗鬆症状態です。だから噛んでも大丈夫なんです。
とにかく硬い食べ物には注意が必要です。
「試しに噛んでみる」というのも出来ればやめてください。
「平気平気?♪」ってバリバリ噛んでいると、いつか破滅の時が訪れます。
(この記事は2022年5月に書いたものです)