第61回日本口腔衛生学会総会@横須賀

ポスター掲示を澄ませた後は、シンポジウムを聴講しました。

今回の学会テーマは「プラークコントロールマイニング」です。
特にこのシンポジウム「デンタルプラークをコントロールするフッ化物応用」、
これが今学会の白眉でありました。

今まで、フッ化物のムシ歯予防のメカニズムは歯質への作用を中心に考えられてきました。歯質の脱灰抑制と再石灰化促進に寄与すること、いわゆる「フッ素は歯を強くします」と患者さんに説明されてきたことです。

実は50年以上前から、フッ化物は歯質への作用だけでなく、プラークの増殖と酸産生を抑制することが判っていました。しかしこれはあくまでも試験管内での実験によるもので、実際の口腔内環境ではそのようなことは極めて限定的で、無いに等しいレベルでしか再現されませんでした。

ところが、フッ化物洗口の前にカルシウムイオン等で事前洗口しておくと、Caイオンを介してプラーク細菌にフッ素が吸着、保持されることが判りました。要するに「フッ化物がプラークを介して口腔内に留まる」というわけなのです。

もちろん、プラークを全て除去するのが理想ではありますが、患者さんの日常のセルフケアにおいて、どうしてもプラークを取り残してしまうことは避けられません。ならば、その取り残したプラークを逆手に取って「フッ素の貯蔵庫」として利用してしまおうという、まさに「逆転の発想」なわけです。

しかも、より低濃度のフッ素で、より効果的な「静菌効果」と「再石灰化効果」が期待できます。これにより、修復・再建から予防へというパラダイムシフトがさらに加速することが予測されます。



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