「松壱家」


松壱家は、磯子に本店のある家系の名店:壱六家の弟子にあたる店で、ラーメンの盛り付け自体が如実にそれを物語っている。特徴的なウズラの卵はその典型で、ひとつのアイデンティティーと言えるだろう。それ以外は定石通りの家系の盛り付けである。
極太ストレート面も定石から外れることはない。そんな中、スープだけは壱六家系列のオリジナリティーを見てとることができる。もちろん醤油豚骨スープであることには変わりないのだが、家系主流派と比較して醤油味が薄めで、それはスープの色となって表現されている。醤油が薄めな分、出汁の味がストレートに伝わってくるのが嬉しい。醤油味が薄くなった分、スープが極太の麺に負けるのではないかと心配する向きもあるようだが、その心配には及ばないし、麺の味もかえって引き立っているようですらある。
家系に共通して言えることだが、後から加える油が「いわゆる背脂チャッチャ系」などのような豚の脂ではなく、鶏油を使っているので、見た目で受けるこってり感からすると拍子抜けするぐらいに、スイスイと喉を通ってゆくのである。
実のところ、このHPで紹介した「いまむら」や「めじろ」などの方が、見た目とは裏腹に遥かに油っこいのである。
そして、初めて一口食べた時の衝撃はそれほどでもないものの、意外なほどに後を引く不思議な魅力があることも事実で、しばらく口にしないと軽い禁断症状みたいなものが現れるのが「家系の恐ろしさ」と言ったら言い過ぎだろうか?。
ところで味もさることながら、この店の大きな魅力は若いスタッフの真摯な姿勢である。一見すると「今時の若いにいちゃん達」で、決して愛想が良いと言うわけではないが、常に客の動きに気を配り、老若男女を問わずどの客にも公平にサービスし、しかもそのスタンスが気まぐれでコロコロ変わることもない。かといって、決してマニュアルに縛られた無味乾燥な対応ではなく、必要な時には臨機応変な対応も可能、、、。
常々感じていることだが、どんな業種でも結局は「人」で決まるということ。飲食業は特にそうだということを松壱家に来るたびに実感させられる。松壱家は壱六家の弟子に当るとはいえ、壱六家の大船支店などよりもレベルは数段上である。あとはチャーシューのレベルがもう少し上がれば鬼に金棒なのだが、、、。
いずれにせよ本家の壱六家を抜く日もそう遠くはないだろう。


「松壱家」
藤沢駅北口から徒歩4分
藤沢市藤沢991-20
営業時間:火〜土11:30〜26:00,日11:30〜22:00
定休日:月曜・第一日曜
電話:0466-50-6555

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