歯周病は何回通うと治る?
歯医者に来た患者さんがよくする質問に「何回くらい通えば治りますか?」というのがあります。
ムシ歯に関しては大凡「あと何回」かかるのかをお話しできます。
入れ歯についてもお話しできます。
しかし歯周病に関しては「あと何回」かは申し上げにくいのです。
その昔、歯医者が虫歯を治して歯を抜いて入れ歯を入れるだけだった時代には「あと何回」という治療がそのほとんどを占めていたため、多くの患者さんが歯 医者は「あと何回」と言ってくれるものだというイメージを持っているようです。
歯周病治療がムシ歯治療と大きく異なる点、それは「悪いところがあるからその部分を削り取って替わりに人工物を詰める」ということが出来ないということ です。
基本的に「病気の原因となるものを取り除き、あとは人間の持つ治癒能力に期待する」という方法なわけです。
実は歯周病に限らず、多くの病気の治療法は後者の方であり、ムシ歯治療のような治療法は全ての医療の中では極めて少数派というわけです。
例えば、整形外科で「この腰痛はあと何回通えば治りますか」とはならないでしょう。
糖尿病にしても、白内障にしても、高血圧にしても、「あと何回で」とはならないのが普通です。
昔の歯科治療は「あと何回」が当たり前だったわけで、そういう意味では歯科というものが全ての医療の中ではかなり特殊であったのも当然で、医師免許と歯 科医師免許とが別物であることも自然な成りゆきであったのでしょう。
歯周病はどんな病気か、、、
大まかに言うと「感染症」であり「進行性の病気」であり「生活習慣病」である、、、ということです。
口腔内に常在する菌による感染症であるということは、「病気の原因が常に口腔内にある」ということです。
通常の感染症では原因菌を根絶すれば「完治」ということになりますが、口腔内常在菌が原因である歯周病には事実上、完治がないということになるのです。
進行性の病気であるということは、「放置すれば確実に進行し、自然治癒がない」ということです。
骨折などのように「全治○ヶ月」と言うわけにはいきません。
くわえて、治療によって改善しても、その後放置すれば確実に再発してしまう病気なのです。
また、個人の生活習慣が病気の発生と進行に大きく関係しますし、加齢も要因のひとつになります。
このように全ての医療の中でも特殊な位置にある歯周病治療、、、
ムシ歯治療とはまさに対極にあると言ってもいいでしょう。
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