『セカンドオピニオン指南』



以前、以下のようなメールでの御相談をいただいたことがあります。

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突然メールを差し上げるご無礼をお許し下さい。

今は落ち着いていますが、左上6番が根尖病巣です。

最初の歯科で矯正を進められました(開咬)、2番目の矯正歯科でも矯正(6番を抜いて8番を使う?) 3番目の口腔外科では顎を切る手術が必要といわれ、4番目の大学病院では矯正といわれました。

3番目の口腔外科に進められた歯科にかよっていますが、詰め物がいつも大きめで、調整するのに1時間(口がしんどい)かかったりします。

最初の歯科は、金の話ばかりでした。(スケーリングしていないのに、スケーリング代請求?)

そこで先生に是非とも根、歯周病に関する事でご指導を仰ぎたいのです。

もしよろしければ、歯周病の得意な先生をお教えいただければ幸いでございます。

お忙しい中勝手なお願いで申し訳ないのですが、どのような情報でも貴重ですのでよろしくご教示下さい。

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このメール、原文のままです。

このメールを読んだだけでは、この方のお口の中の病状は全く分かりません。
しかし、この方が相当に混乱してしまっていることだけは解ります。

混乱している原因は色々考えられるのですが、順を追って整理してみましょう。

この方、色々な歯医者を廻っており、現在は5軒目ということになります。
いわゆるドクターショッピングというやつです。

5人のドクターからはそれぞれ治療方針を示されているようですが、全てに対して疑念を持っているようです。
要するに誰ひとりとして信用していないわけですね。

5人のドクターの意見が微妙に異なるだけで、もう大混乱です。
では5人中2人のドクターの意見が同一であれば混乱しないのか、と言えば、そんなことはありません。

加えて、この方は心配のあまり、インターネットや本を片っ端から調べているでしょうが、今の自分にとってどの情報が必要なのかが分からなくなっているに違いありません。

このような方にはセカンドオピニオンが効果的です。
しかし、ここで間違ってはいけない重要なことがあります。

それは「セカンドオピニオンとドクターショッピングは全く別物である」ということです。

以上のことを念頭に置いて僕が書いた返事を読んでみて下さい。

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○○さん、こんにちは。
22日が休診日だったため、お返事が遅くなりました。すみません。

申し訳ありませんが、お口の中を実際に拝見していないので、
治療内容に関してのコメントは控えさせていただきたく存じます。

また、複数の医療機関の門をたたいておられる御様子ですね。
僕が無責任に意見を述べてしまうと、混乱を招く恐れがありますので、
やはり、実際にお口の中を診た医師の意見を尊重なさるべきと考えます。

ちなみに、複数の機関を受診した場合に、医師の意見が各々異なることは よくあることです。

どの医師の意見も同じでなくてはならないということはありません。
目指す治療のゴールは同じでも、ゴールまでの経路(治療法)は いくつもあるのが当然だからです。

歯科医療に不信感を持った患者さんが転院を繰り返した場合、
各医院の歯科医師が異なる意見だった場合は、
意見が正しい正しくないに関わらず、この不信感は増幅します。

それを防ぐためには「セカンドオピニオン」を前提に受診することが必要です。
つまり、主治医に対しては、
別の医師の意見を聞きに行くことを申告する必要はありませんが、
セカンドドクターに対しては、
現在主治医がいることと、
あくまでセカンドオピニオン(第3者としての意見)を必要としていることを
申告する必要があるのです。

セカンドオピニオンを受け付けてくれる歯科医院を探してみてはいかがでしょうか。

また、○○市付近に歯科医師の知り合いは残念ながらおりません。
よって、推薦する歯科医院というものも、わからないのが現実です。

あまり力になれず申し訳ありません。
当ホームページのリンクの最後に検索エンジンの一覧がありますので
そこから探してみてはいかがでしょうか?

茂木信道


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僕のこのアドバイスに対して以下のようなお礼のメールをいただきました。

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>ちなみに、複数の機関を受診した場合に、医師の意見が各々異なることは
>よくあることです。
>どの医師の意見も同じでなくてはならないということはありません。
>目指す治療のゴールは同じでも、ゴールまでの経路(治療法)は
>いくつもあるのが当然だからです。

理解しました。

>つまり、主治医に対しては、
>別の医師の意見を聞きに行くことを申告する必要はありませんが、
>セカンドドクターに対しては、
>現在主治医がいることと、
>あくまでセカンドオピニオン(第3者としての意見)を必要としていることを
>申告する必要があるのです。
>セカンドオピニオンを受け付けてくれる歯科医院を探してみてはいかがでしょう
か。

セカンドオピニオンの意味が、やっとわかりました。わかりやすいです。
今、私に必要な的確なアドバイスに感激しています。すごい!
茂木先生の心のこもった言葉に涙がとまりません。
本当にありがとうございました。
お忙しいのにお手数かけました。


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とっても嬉しいお返事のメールです。
でも、ここに大きな問題が、、、。

インターネットでの歯科相談って往々にしてこのような事になるんですよね。

僕は、この方の置かれている状況など、実は殆ど分かっていないんですけどね。
だからおのずと当たり障りのない一般論に終始するわけです。

でもその方にとっては「思慮深く慎重に、そして優しく自分のことを考えてくれる先生」という風に映るんでしょう。

このことに関しては、この「お役立ち情報」内に「インターネット歯科相談の落とし穴」として論評しておりますので是非ご覧になって下さい。

インターネットをはじめとする現代社会の情報の氾濫は、我々の生活に種々の悪影響を及ぼしています。
しかし、一番悪影響を被っているのは、おそらく医療なのではないでしょうか。


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