早速「集団フッ化物洗口の普及を考える」というシンポジウムを聴講しました。
学会開催地の熊本県は、今年度中の小中学校でのフッ化物洗口の完全実施を目指しておりましたが、予定通り実現できる見込みです。
これは平成22年11月に「熊本県歯及び口腔の健康づくりの推進に関する条例」を施行させてから、僅か4年での快挙です。
他の同様の条例には「フッ化物応用の推進」を謳っていても、有名無実化するケースが多いことから、この熊本県の行政力は掛け値なしに素晴らしいものであるといえます。
保健所の方々の地道な啓発活動の賜物であることはもちろん、県教育委員会が率先して学校向けの研修会を開催した事実など、ちょっと信じられないほどの驚きをもって聴講しました。
また、同じ九州の佐賀県は、熊本県に先立って小中学校でのフッ化物洗口の完全実施を実現して久しいわけですが、その佐賀県の佐賀県健康福祉本部副本部長の講演もありました。既に実績も十分ある佐賀県のことですから、期待して聴講したのですが、まさに期待通り、大いに説得力のある講演でした。佐賀県においてもやはり教育委員会がフッ化物洗口の実施推進表明をしたことが大きなポイントだったとのことでした。
佐賀県の実績の具体的な例を以下に示します。佐賀県は熊本県とともに3歳児の1人平均ムシ歯数では、現在でも全国ワーストクラスが指定席です。ちなみに神奈川県は東京都とともに3歳児では全国トップクラスが指定席です。しかし、12歳児の1人平均ムシ歯数となると、佐賀の順位はグンと上がり、神奈川は順位を落とし佐賀に抜き去られて後塵を拝することになるのです。小中学校でのフッ化物洗口の完全実施が、如何に3歳以降のムシ歯の発生抑制に効果的であるかを示すとともに、この結果は行政力の差をまざまざと見せつけるものでもあります。今後、熊本県に抜き去られるのも時間の問題でしょう。