第63回日本口腔衛生学会総会@熊本

 学会場に向かい「口腔の健康に関するエンドポイントの再考」というシンポジウムを聴講しました。

 エンドポイントは医療評価項目とも訳され、例えば過去の歯周病治療のエンドポイントは歯周ポケット深さの減少であったわけです。しかし近年、「口腔ケアの第一目的が口腔の健康ではない事例」が増加しています。具体的には周術期の口腔ケアであったり、糖尿病の合併症の予防であったり、生活習慣病の予防であったりするわけです。医科歯科連携が叫ばれるようになって久しいですが、連携相手の医師が必要としている情報は、その対象が歯周病患者であったとしても歯周ポケットの改善値ではありません。BOPですら必要ではなく、彼らは唾液検査値や血液検査値の改善を必要としているのです。医師にとっては口腔ケアの第一目的が口腔の健康ではないので、治療目的と合致したエンドポイントが我々歯科医師とは異なるのです。そしてもちろん患者自身にとっても、今や口腔ケアの第一目的は口腔の健康ではなくなり、その先にある全身の健康になりつつあります。まさにエンドポイントのパラダイムシフトが起っているのです。

 我々歯科医師も、唾液、血液検査値などのエンドポイントの活用をしてゆかねばなりません。これらのエンドポイントは歯周病のためだけでなく生活習慣病のモニタリングに利用でき、しかも誰でも測定可能かつ利用可能であるだけに、有用性が高く、逆に取り残された時の損失は計り知れないものがあります。我々歯科業界を取り巻く環境をみれば、「制度」としては既に取り残されているのかもしれません。



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