この10年の研究の進歩により、腸内環境の乱れが栄養、薬効、生理機能、老化に影響を与え、自己免疫疾患、アレルギー疾患、がん、肥満症、感染症などの発症や進行に影響を及ぼすことがわかってきました。
20世紀の医療は「伝染病との戦い」であったと総括されます。対して、21世紀の医療は生活習慣病に代表される「伝染しない病気」との戦いになるだろうと言われています。
そのキーになるのが腸内常在菌が生息する大腸です。大腸は人の臓器の中で最も種類の多い疾患が発症する場でもあります。
近年ではドーパミンなどの神経伝達物質への腸内常在菌の機能も明らかになりつつあり、神経、ホルモン、免疫が制御され、健康や疾病との関連性は極めて高いと考えられます。
腸内細菌叢のバランスを整えることが口腔の免疫機能に好影響を与え、さらには口腔内細菌叢のバランス改善につながる可能性を含めて、今後とも目の離せない分野です。
卓越した研究者による現在〜近未来の研究トレンドを聴講し、今後の口腔治療の方向性や将来像を重ね合わせることは、非常に意義深いと感じたのでした。