フロリデーションに対して国民の関心が高まらない理由のひとつには、近年の児童のムシ歯が確実に減っていることも挙げられます。
ブラッシング指導がいきわたり、保護者のそれらに対する意識も高まり、虫歯のある子どもが年々減っていることは紛れもない事実です。そのことにより「今さらフッ素だなんて言わなくても大丈夫なんじゃないの?」という雰囲気があることも事実です。
それに対して、学会は「健康格差」という問題を提起しています。
たしかに、幼児の歯科検診を担当している全国の歯科医師は「健康格差」を実感しているのではないでしょうか。現在の3歳半までの子供達はムシ歯のない子が大多数です。しかし、一部のムシ歯のある子の口の中は相当に酷い状態なのです。
1986年から2005年までの20年間で日本の小学生のムシ歯の減少率の平均は、なんと60.3%だそうです。これは本当に素晴らしいことです。しかし、フッ素洗口を行った集団では、これが89.4%にまでなるのです。
水道水のフロリデーションは、現代社会に取り残されてしまった層、特に無関心な層をも救済することができる、というのが学会の主張です。