たしかにフッ化物応用の有効性や安全性は理解が出来ます。フロリデーションを推進する意義も理解することが出来ます。
推進する先生方の熱意と情熱はしっかり伝わってくるのですが、今まで公衆衛生学とは別の畑を歩んできた自分(去年までは部外者と言っても過言ではありませんでしたから)にとっては、この熱意と情熱の凄まじさを目の当たりにすると、何故か少々「ひく」のですね。
反対運動をする人達を「目の敵にしている」ことも、ひしひしと伝わってまいります。
「フロリデーションの導入を検討している地域はもとより、無知な地域や住民の支援となるような提言をまとめることができれば、、、」という一文からも、過去からの並々ならぬ苦労や遺恨が窺い知ることができるのです。
今回の特別講演はオーストラリアから招いた Michael Foley という先生によるものでしたが、演題が「How to fight the fluoridation battle」ですから、、、なにせ「いかに戦うか」ですからね。凄いです。
過去を振り返ると、常に権威ある団体や学者の提唱する事柄が「絶対に」正しいとは限らないということが歴史的教訓として導き出されます。ここで誤解していただきたくないのは、一般的には権威ある団体や学者の提唱することは大方、正しいと推定出来るということです。ただし、それを「絶対視」して「盲目的」に信じることは、若干の問題が場合によってはあるということなのです。
フッ化物応用の安全性については、近い将来、誰もが安全だと納得するような結論を得られる日が来るかも知れません。しかし、逆の展開となる可能性もゼロではないということです。
そして、今回判ったことは、この日本口腔衛生学会という学会は、その時の学会長の方針が強く反映されるのだということ。
それほどまでに今回は「フロリデーション一色」と言っても差し支えないような内容でした。
前回の新潟での学会では、内容的にも歯科の多方面の分野にわたっていて、この学会の特徴である「学際性の高さ」を実感できました。そのことに非常に好感を持った「元部外者」の自分としては、今回の学会はどうしても「違和感を禁じ得なかった」というのが正直な感想です。