過去の日本の歯科医療は「早期発見・即時処置」を目指した画一的なものだったわけですが、現在は地域特性を考慮しながら健康教育や保健指導を推進しようというものに変化してきています。
そのような流れの中で、国が2000年から2010年にかけての健康目標を具体的に示した「健康日本21」の中には、フッ化物の局所応用が明確に位置づけられています。(具体的な数値目標も明示されていて、フッ化物歯面塗布を受けたことのある3歳児の割合が50%以上、学齢期のフッ化物配合歯磨剤の使用が90%以上となっています)
優れた公衆衛生特性のためには、簡便、安価、有効、安全、という「4本柱」が必要ですが、フッ化物の局所応用は、それらを満たしていると言えるわけです。
2003年に厚労省から都道府県知事宛に通知された「フッ化物洗口ガイドライン」なるものがあるわけですが、ガイドライン通知以降は全国のフッ化物洗口実施率の上昇が、それまでの4倍近くになったそうです。
1994年には17万7千人だった実施者数も、2010年には77万7千人と激増しており、神奈川県民の小生は、恥ずかしながら、そんなことは知りませんでした。
そして、実は、新潟県はフッ素先進国(正しくは先進県ですね)だったんですね。既に1970年代から積極的に取り組んで来たんだとか。
今回の学会も、ちょっとした「地元凱旋興行」みたいなものだったのかもしれません。
それに対して、我が神奈川県はと言えば、もちろんフッ素後進国でありまして、、、
たしかに、藤沢市の現行のフッ化物洗口事業にしても、先に挙げた「4本柱」のうちの「簡便」の部分が欠落していますものね。市民が洗口液を購入するまでのプロセスが、お世辞にも「簡便」には程遠い仕組みになっていますから。これでは公衆衛生特性に劣るわけです。