象牙質う蝕、特に歯周病などで歯肉が退縮して露出した歯根面に発生する根面う蝕に対する予防と治療のニーズは、高齢化社会を迎えて今後ますます高まることが予想されます。
エナメル質のう蝕と根面の象牙質う蝕とでは、「無機質の脱灰」という観点では同じであるということで、今まで共通に扱って来たのが我々の業界でした。
しかし共通に扱って来た結果は、根面う蝕のコントロールの難しさに直面するというものでした。
近年、象牙質う蝕には「有機質(コラーゲン)の崩壊」が大きく関与していることが判っており、この有機質崩壊にはMMPというタンパク溶解酵素が関与しています。
これは、エナメル質う蝕をコントロールするためには、無機質の脱灰抑制をするだけでも良いが、根面う蝕をコントロールするためには、有機質の崩壊抑制もする必要があるということを示しています。
そしてむしろ有機質崩壊抑制の方が、より重要であると考えられ始めているということです。
フッ素にはMMPの活性を阻害する働きがあることも判っており、フッ化物の局所応用はエナメル質う蝕に対しては言うに及ばず、根面う蝕の対策にも有用であるというわけです。
今学会では、フッ素以外の有機質崩壊抑制手段や、歯質強化のためのアプローチも報告されていました。
そして、歯質強化という部分に接着歯学が絡んで来るわけですが、今回も例の接着の権威の教授先生がお話しされておりました。
この人って他の学会でもそうですけど、いつも「いいことだけ」しか話さないんです。
あたかも「この方法は万能!」というイメージを聴き手に与える話し方なんです。 こういう話にはマスコミも飛びつきますしね、、、従来までの方法は全て誤りとの誤解も与えますし、結果的に医療不信の煽動に繋がった事例が多々、、、